
Interview
現場主義で“やってやった感”を追求
ドイツで積んだ経験をもとに
燃料電池技術の未来を切り拓く
S.O
堀場製作所
2018年 キャリア⼊社
生産技術/製造
薬学研究科 薬学専攻
※所属および記事内容は、取材当時のものです。
⼊社動機
大学で薬学を専攻し、卒業後は製薬会社に就職しました。生産現場での業務は楽しかったものの、担当業務が予算管理や生産戦略といった間接業務に変わっていく中で、おもしろさを失っていきました。「もう一度現場に戻りたい」という希望を会社に伝えましたが、叶えることが難しく、転職を考えるようになりました。HORIBAを選んだ理由は、自動車産業や半導体産業といった変化の激しい業界と関わりがあることに魅力を感じたからです。また、製薬業界のオートメーション化された製造と異なり、HORIBAの装置は多くが人の手で作られている点も魅力的でした。もともと海外で働きたいというおもいもあり、グローバルに展開しているHORIBAの環境にも惹かれました。面接も非常にリラックスした雰囲気で社風の良さを感じたことから、入社を決めました。

現在の仕事内容
入社して最初の1年は生産技術部に所属し、医用分野の生産記録システムの導入や、大気汚染測定装置の生産プロセス改善に携わりました。その後、HORIBAが買収したドイツの燃料電池評価装置メーカーであるホリバ・フューエルコン社(以下HFC)に長期出張し、生産組立の応援やプロセスの課題確認を行いました。さらに、HFCが電動車両開発や水素をはじめとした新エネルギービジネスのニーズに応えるために立ち上げた新工場「HORIBA eHUB(以下eHUB)」(”e”はenergy : エネルギー、electrification:電動化を表す)の生産プロセス構想の検討・提案にも関わりました。その後、約1年間の業務研修と約3年間の出向、合わせて約4年間ドイツへ赴任し、eHUBの生産レイアウト設計や生産ラインの立ち上げ、部品管理、組立図面の改善に従事しました。帰国後は現在までびわこ工場の生産部署で、燃料電池や水電解関連製品の生産プロセス開発・改善担当として、HFC製品の生産技術移管やローカライズした水電解評価装置の組立・コミッショニング(調整検査)を行っています。入社当初は電気や機械に関する知識がなかったものの、一貫して生産プロセスの改善に取り組んできました。特に大気汚染測定装置の生産プロセス改善では、現場作業の無駄を定量的に測定するIE(Industrial Engineering)という手法を駆使し、作業者にカメラを装着して全工程を解析したほか、工具配置や作業説明書の改善を行うことで、受注が2倍に増加した際に対応できる生産体制の構築に貢献しました。現在の業務では、HFCの生産ノウハウを日本に移管する重要な役割を担っています。

前職でのスキルや経験が今の仕事に活かされていると感じる点
製薬会社での経験を活かし、入社してすぐHORIBAが生産する医用機器をアメリカで製造・販売するための現地の承認を得る業務を担当することになりました。日本とアメリカでは医薬品や医療用機器に関する規制や監査の仕組みが異なるため、前職での知識が役立ったと思っています。また、前職では工場の再編などで海外の人と英語でやり取りする機会も多く、仕事を通じて得た実践的な語学力も役に立っています。それ以外にも、課題解決のための思考法やエクセル作業、プレゼン資料の作成などは、分野が違っても共通して必要なスキルのため活かせていると感じています。
仕事で印象に残っている
エピソード
約4年間ドイツに滞在しましたが、最も心に残っているのはHFCでの最終出社日に、現地のドイツ人メンバーから感謝の言葉とプレゼントをもらったことです。HFCでの業務では、現場の人々とのコミュニケーションの98%がドイツ語でした。日本で1か月間ドイツ語を学んだ後に、現地の語学学校にも通いましたが、実用的なレベルになるまでには約1年かかりました。片言でもドイツ語で話すことができるようになってからは、現地のメンバーの反応も変わり、業務改善の提案も聞き入れられるようになりました。最初は「日本の本社から来た人間が、現場のことも知らないのになにか言っている」と煙たがられるような空気が少なからずありましたが、4年間で信頼を得ることができ、日本に帰るときには現場の中心となっていた人物から「感謝しているよ」と言われてハグされたことが、今でも忘れられない思い出です。 また、日本に戻ってから初めてHFC製品や水電解評価装置を組み立て、無事出荷できたことも、ドイツでの経験を活かし、大きな達成感を得ることができた出来事として印象に残っています。

今後の目標
燃料電池・水電解関連製品の生産における第一人者になることを目標に、HORIBAのものづくりを進化させ、私たちのチームの生産手法が国内外・社内外を問わず模範とされるレベルに高めていきたいと考えています。HORIBAに転職して良かったと実感するのは、日々の業務に「おもしろさ」があることです。変化の激しい業界を生き抜くサバイバル感や、言葉も考え方も異なる海外の人々と協働しながら結果を出さなければならない状況は、少しのプレッシャーを感じつつも非常に刺激的です。現在取り組んでいる燃料電池・水電解分野は会社にとって将来への投資となるビジネスであり、立ち上げたばかりでまだまだ大きな規模にはなっていませんが、HORIBAの未来に向けた重要な仕事だと自負しています。
1⽇のスケジュール
部署やチームの雰囲気
私の部署はとにかく明るく、ざっくばらんに意見交換ができる環境です。ときに熱い議論になることもありますが、担当業務や立場に関係なく意見を言い、建設的な話し合いができます。コミュニケーションも非常にオープンで、上司や同僚に相談したいことがあれば、わざわざ会議を設定しなくても気軽に話ができる環境が整っています。また、メンバー全員が現状に満足することなく、常により高いレベルを追求する姿勢があることが、自分にとって良い刺激となっています。どんな状況でも最後は必ず解決するというプライドと根性を持っていることが、HORIBAの社員の特徴だと感じています。

私にとっての
「おもしろおかしく」
私にとっての「おもしろおかしく」とは、「やってやった感」を追求することです。これは「こんなおもしろいことをやったぞ」という達成感や、「自分がいなければこの仕事は成し遂げられなかった」と感じられる瞬間のことです。常にチャレンジを続け、トラブルさえも楽しみながら、妥協せずに困難を乗り越えた後の自分の成長を自分で褒めることが大切だと考えています。自分が今取り組んでいることに楽しさを見出し、何に興味を持ち、何に憧れているかを常に自問自答し、それに従って行動することを心がけています。